２０２５年の「どんちっちアジ」について。

２０２４年まで「どんちっちアジ」がブランド化されてから 弊社では「どんちっちアジ」を開いてきました。
（「どんちっちアジ」とは島根県浜田市で水揚げされるマアジのブランド魚のことです。
特に、4月から9月頃に漁獲され、平均脂質含有量が10％以上、サイズが50グラム以上のマアジのことです）
この１０％以上の脂質に認定する方法として,水揚げされたマアジからサンプル魚を取り出し 脂質測定器で計測して　平均値をとるという方法で行われています。
しかしながら、近年脂質量が１０％を切ってしまうものが多々混じるようになっておりました。
当店では、対策として競り落としてきた「どんちっちアジ」を開く際に 工場長の目利きで　脂質の低いマアジは撥ねて製造しております。
しかし、鮮魚として箱単位で東京等へ送る鮮魚屋さんは 一匹づつ選別して送ることが難しいために、送り先からクレームが来ることが増えたという声を受けて ２０２５年から基準を見直すことになりました。
基準を見直すと「どんちっちアジ」と認定されるマアジが極端に減ってしまうと思われます。
競り値も近年以上にかなり高くなると思われますし、もしかしたら認定される「どんちっちアジ」が 水揚げされることなく漁期が終わる可能性も出てきました。

河野乾魚店では今年は「どんちっちアジ」と認定されていなくても良さそうなマアジを 競り落として　選別しようということになりました。
選別は　例年通りです。
その方が、お客様にリーズナブルで美味しい「開アジ」をお届けできると 考えております。
脂質については　弊社で「脂質測定器」を購入することも考えましたが 数百万と高価であること、１匹の計測に５秒もかかってしまい鮮度が落ちる可能性が高いことなどを勘案して、 今まで通り工場長の目利きに任せることとしました。
「どんちっちアジ」というブランド名はつけられませんが 「河野乾魚店　工場長目利きの開きアジ」としてお客様にお喜びいただける 美味しい「開アジ」を自信をもってご提供いたします。

１匹・１匹丁寧に手で開いています。

肉厚な身が特徴です。腹の部分が白く感じるのは、脂質量が高いためです。

腹身側です

背（皮）側です。（焼くと、皮はパリッパリになります）

このアジを3枚におろした時です。全体に身が白っぽく感じるのは全体に脂が回っているからです。普通、アジは身が赤っぽく感じると思いますが脂ののった「アジ」は白っぽい身となります。

アジを　開く時期のことを　割時(わりどき）　と　言います。

（この言葉　工場長が　使いますが　辞書にはないようです）
それは　どんな時期かというと　もちろん 一番美味しく仕上がる　時期　なんですが・・・・

競り落としてきた　アジは　とても鮮度の良い状態で 身がとても固く　硬直した状態で　作業場に　運ばれてきます。
それを　すぐには　開かない　という　ことです。

その状態で　開くと　アジの脂は　魚体に　まわってなくて　 旨みが　今一歩に　しあがってしまいます。
と　同時に　包丁がスムーズに入らないために 開いた断面が　ガタガタに　なって　口当たりも悪くなってしまいます。

では、いつ開くか？
「今でしょ！」（笑）を　見極めなければ　なりません。

その今は　硬直が　溶けてきた　時　です。
その時を　見計らって　すばやく　開くのだそうです。

でも　その時を　過ぎてくると　だんだん　お腹がゆるくなって 割れてきますので　それも　ダメ。
その時を　のがさないのが　大切だと　いうことでした。

「その今でしょ」が　夜中だったらどうするの？
（意地悪な　質問をしてみました）

そこは　冷蔵庫と　締め氷で　時間調整をするということです。
そういえば　市場から　アジが到着すると（かごに入ってきます） まず　その上に　どっさり　氷を載せるところから 作業が　始まります。
それは　この　割時を　調整するものだったんですね～～～

なにげなく　鮮度を　保つためだけに　氷がおいているわけでは なかったようです。

どんちっちアジを　お召し上がり頂くときちょっと　そんなことを　思い出していただいたり 一緒に　お召し上がりになる方に　豆知識として　お話いただけたら嬉しいです！！！